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結婚式のビデオカメラマンって実際何してるの?

ブライダルの映像制作をメインの仕事としてここ数年やってきました。とても好きな仕事なんですが、世間的には今一つなじみが薄いようです。人に話してもピンと来てもらえないことが多くて切ない…ということで今回は、ブライダル撮影の仕事について、ちょっと詳しく解説していきます。

1. エンドロール映像と記録映像

要は結婚式と披露宴を撮影しておいて、あとで本人が見返したり人に見せたりできるようにDVDやBlu-rayなんかの形に残す、という仕事です。この結婚式のビデオ撮影は、大きく二つに分けることができます。「エンドロール映像」と「記録映像」です。なんじゃらほい、ということで、それぞれの特徴をあげてみましょう。

 

エンドロール映像

  • 当日の様子を途中まで(挙式まで、乾杯まで、再入場までなど商品次第)撮影する
  • その日のうちに2時間ほどで編集する
  • 撮影者と編集者は別の人間が担当することが多い
  • 披露宴の最後に上映され、ゲストの名前リストやメッセージとともにエンドロールのように流れる
  • 仕上がりは一曲のBGMに合わせて5分前後、短い

 

記録映像

  • 当日の様子を最後まで撮影する
  • 後日しっかり時間をかけて編集する
  • 撮影者が編集をすることが多い
  • 挙式から1~2ヵ月後にディスクが本人たちの手元に届く
  • 仕上がりは制作会社次第だが10分~2時間ほど、長い

 

という感じです。エンドロールと記録どちらも業者に注文する方もいれば、どっちかだけの方、写真があるしビデオは要らないという方もいます。ご友人やご親族が記録的なビデオを撮影されることもありますね。ご新郎ご新婦にとって当日はとにかくあっという間に過ぎて行ってへとへとになること請け合いですから、何かしら撮っておくと後からゆっくりきれいな思い出に浸れて良いのではないかと思います。

 

エンドロールと記録、それぞれの特徴の違いによって、撮影の注意点もかなり変わってきます。

 

エンドロールは披露宴終了までの短い時間で必ず完成しなければなりません。編集しやすいよう、撮影位置を変えながら細かくカットを区切って画にバリエーションを持たせつつ、無駄なカットを撮りすぎないことが重要です。また、印象的なカットと説明的なカット両方をバランスよく撮影しておかないと、見ていて何が起こっているか良くわからない映像になったり、状況が坦々と並べられた退屈な映像になってしまいます。

 

記録映像は起こったことをなるべく長く分かりやすく残しておく必要があります。また、カメラマイクやPCMレコーダーを使って音声も収録します。あまり細かく動かず長回しをしますし、説明的な広い画が多めでも見飽きしないカメラワークを考えて撮ります。イベントの流れや主賓席の位置をしっかり確認して把握しておく注意深さと、とっさのハプニングも見逃さず対応できる柔軟性が大事です。ゲストからご新郎ご新婦へ向けたメッセージ撮影をお願いして回ったりもしますので、多少のコミュニケーション能力があると良いです。

「そのモフモフなんですか? 飾り?」と聞かれることの多いカメラマイク(奥)と、PCMレコーダー(手前)。PCMレコーダーはめっちゃ高精度なMP3レコーダーみたいなものだと思っていただければ間違いないです。
「そのモフモフなんですか? 飾り?」と聞かれることの多いカメラマイク(奥)と、PCMレコーダー(手前)。PCMレコーダーはめっちゃ高精度なMP3レコーダーみたいなものだと思っていただければ間違いないです。

一口にビデオ撮影と言ってもかなり違いますよね。人によってはどちらかしかやらなかったり、編集しかしない人、撮影しかしない人というのもいます。私はエンドロールの編集から入り、少しずつ撮影もできるようになり、現在は記録の撮影編集もやるようになりましたので、一通り全部ができます。どちらかというと、記録映像のほうが考えることが多くて、技術的な難度が高いかなあと思います。

 

長くなったので今回はここまで。次回は、エンドロールカメラマンと編集者が当日実際どんなタイトなタイムスケジュールで動いているのかという話にしたいと思います。絶対間に合わせないとならないので、いろんな工夫をしているのです。

ちなみに次回以降、

 

2. エンドロール制作の一日

3. 記録カメラマンの一日+α

4. プロに頼むといいところ

5. 私がこの仕事を好きな理由

 

みたいな話を週一目安で書いていく予定です。月曜か火曜更新。書いてほしいこと知りたいことがありましたら、メールツイッターのリプライなんかでご連絡ください。よろしくどうぞ!